高専制度に関するメモ

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zoom RSS 高専法案成立時の国会審議 文部省・自民党は「2級国道」と位置付け

<<   作成日時 : 2006/12/27 02:33   >>

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第38国会 衆議院文教委員会 23号 1961年36年05月15日

高専制度の必要性を説明した荒木萬壽夫文部大臣の発言

○荒木国務大臣 六・三・三・四そのものを私は否定する考えは一つもございません。東海道の舗装のほかに中央道を作るという例をとりますか、中仙道を例にとりますか知りませんけれども、東海道だけでは不十分だ、現在の交通量はまかないきれない、もう一本二級国道的なものを考えねばならぬという意味合いでございまして、六・三・三・四それ自体は厳然として堅持され充実されていかねばならぬ、これにプラス・アルファで将来に向かっては完全になるであろう、こういうふうに理解しております。

第38国会 衆議院本会議(41号) 1961年05月17日

国会の本会議で高専制度の創設に反対討論を行った日本社会党・山中吾郎衆議院議員の発言

○山中吾郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました学校教育法の一部改正法案、すなわち、通称高等専門学校法案につき、反対の討論を行なうものでございます。

 この法案は、一口に言えば、インスタントそばのような安上がり速成法案でございまして、科学技術者の不足という現状の空腹感を満たすのには便宜でございますけれども、人間形成という教育的栄養価値はごく少ない、最近まれに見る粗末な思いつき法案でありまして、荒木文相の無責任な文教政策の本質を象徴するものであり、まことにわが国の国民教育のために遺憾であることを、前もって表明しておく次第でございます。(拍手)

 また、この高等専門学校制度が実施された暁には、わが国の学校制度全般に多くの矛盾を積み重ねていくきっかけを作る危険が伏在しておることを深く憂いつつ、次の理由をあげて反対し、かつ、政府及び荒木文相に反省を求めるものでございます。(拍手)

 この法案に反対する第一の理由は、法案提案までの経過及び手続につき多くの疑問を有するからであります。

 御承知のように、この法案の前身は、いわゆる専科大学法案でございまして、専科大学法案は、すでに二回にわたり提案をされ、二回とも審議未了、廃案の運命に立ち至った、いわくつきの法案でございました。今度の五年制高等専門学校法案は、名称こそ異にいたしておりますが、その実質と沿革から見まして、廃案になった専科大学法案を擬装したものであることは明らかでございます。専科大学案のすりか、え法案というべきでございまして、そういう擬装の姿において三たび国会に提案されること自体の中に、私は国会を冒涜する意図があることをまことに遺憾に思うのでございます。(拍手)

 このことについては、あらゆる点において、私は、便宜主義というものかこの法案の体質に含んでおることを感じて、まことに遺憾でございますが、経過を調べてみますと、専科大学は、短大関係者から反対されたために、そのほこ先をそらす手段として、短大制度を未解決のままにして、五年制高等専門学校法案を思いついたのであり、そのごまかしの性格が歴然たるものがあるのであります。さらに、文部大臣の諮問機関である中央教育審議会に対する諮問の形式を見ましても、まことに非民主的、高圧的でございます。すなわち、この法案についての諮問の形式は、五年制高専制度が是か非かの諮問形式をとっておりません。五年制高等専門学校設置要綱案として諮問をいたしておるのでございまして、このことは、まさしく、高専制度を既定の事実として、その運営の細部に関するあり方について諮問をいたしておるのにすぎません。いわば、中教審に形式的に諮問することによって、民主的手続の美名のもとに、五年制高等専門学校制度を押しつけて、うのみにさせたと断ぜざるを得ないのであります。かかる不明朗な提案の経過の中にこの法案の欠陥が伏在することを明らかにしておきたいと思うのであります。

 第二の反対の理由は、この法案は、現行学校制度の基本的秩序である六・三・三・四制を乱すものであるからでございます。

 言うまでもなく、現行六・三・三・四制は、いわゆる単線型と称されまして、憲法第二十六条に規定する、すべての国民は、その能力に応じて、教育を受ける権利を保障する制度としては、最も進歩的、民主的な制度でございます。このたびの五年制高等専門学校制度は、現行六・三・三・四制に対し、六・三・五制という別途の学校系統を設定することになり、やがて六・三・三・四制をなしくずしに破壊しようとするものであり、こういう意味においては、重大なる学校制度の変更を意味する法案でございます。こういう制度の是非の論は別といたしまして、一国の文教政策の基本である学校制度に重大なる修正を加えるについては、思いつきの断片的な法案の提出は厳に慎むべきものであると確信するのでございます。もし、政府が六・三・三・四制を再検討すべきであるという見解に立つならば、学校制度調査会等、総合的な調査機関を設置して、総合的に、かつ、慎重に、衆知を集めて実施に移すべきものであると思うのでございますが、御承知のように、学校職度は、幼稚園より大学に至るまで有機的に結びついた一つの体系でございます。一学校階梯だけをいじることは、石がきの一つの石をはずすと同じく、学校制度全体ががたがたになることを知らねばなりません。(拍手)

 しかるに、荒太文相は、短大制度についての根本的解決もしないで、現在の工業高等学校との関係についても何らの吟味もせず、木に竹を継ぐがごとき高専制を突如として新設するがごときは、無責任きわまる態度といわなければなりません。(拍手)この高専制を実施することによって、次のごときいろいろの矛盾が数年ならずして現われるでありましょう。

 その第一点は、現行工業高等学校は次第に軽視をされ、格下げになることは、火を見るより明らかであります。産業教育振軍港に基りく設備、施設の充実も、やがて行方不明になるでありましょう。また、現行法によっては、工業科に限定されて高等専門学校が設置されることに法文で明示はいたしておりますが、農業、水産関係の高専も認めざるを得なくなることは当然であります。やがて、また、文科系統に及ぶに従いまして、短大制度との矛盾が深刻になるはずであります。また、高専の管理の上からも、諸種の矛盾が伏在しているのであります。すなわち、大学でもない、高等学校でもない、あいまいな性格から、教授、助教授の身分、待遇の問題並びに工業高等学校の教諭との関係における免許法の問題、また、高等学校から転入学の方法、卒業生の大学編入に関する資格等、いろいろの問題の解決は、まことに困難なものになると思うのであります。六・三・三・四制を根本的に再検討することなく、大学でもない、高等学校でもない、中等教育でもない、高等教育でもない五年制高等専門学校は、いわば現行学校制度の私生子である。この私生子が次第に大きくなるに従って、学校制度をかき乱す大きい原因になることを、ここで私は明言をしておきたいと思うのであります。(拍手)

 第三の反対の理由は、科学技術者養成計画との関連において、との高等専門学校制度は、確固たる基本方針が確立されていないことを暴露されていると思うのであります。

 聞くところによると、この法案は、日経連、鉄鋼連盟等の、自民党の選挙資金のルートからの要求に盲従して生まれたものであると聞いておりますが、人間形成を主眼とする文教政策の自主性を放棄したものであります。もちろん、教育は、産業の発展に貢献する任務を持っておることは言うまでもございません。しかし、人間形成こそ教育の本質であり、この立場に立って人間能力を可能なる限り開発することが文教政策の本質でございます。それを通して社会に産業に役立たしめることが文教政策の本来の使命であります。企業のエゴイズムからいえば、今日役に立つ職人的技能者または狭い技術者を求めるでありましょう。しかし、教育政策の立場からは、あすの役に立つ創造的能力と、科学技術を身につけさすことが、当然の任務として、これを捨てるわけにいかないのである。この教育の立場を放棄することは、教育そのものを否定するものといわなければなりません。科学技術者養成の国の責任は、応用能力の開発であり、企業に直結する技術、技能は、企業みずからの経費をもって負担すべきものと私は思うのであります。貧しい国民から吸い取った税金で、人間形成を軽視して、個人企業にのみ役立つ、かたわな技能者養成に力を入れるとすれば、国民にとっては二重課税である。また、文部大臣は、この問題については、十分の責任を持って、国民の円満なる人間形成というものの立場を放棄してはならないと思うのでありますが、この五年制高等専門学校の思想の中には、企業のエゴイズムには奉仕して、人間形成の本来の文教政策の立場を軽視しておるということを、まことに遺憾に思うのでございます。(拍手)

 さらに、賛成論者の中には、戦前の工業専門学校と同視してよい制度であると、簡単に考えておる人があるのでございますけれども、戦前の高等専門学校は、確かに多くの長所を持っておることを率直に認めます。しかし、戦後のこの法案に盛っておる高専制は、戦前の工業専門学校と比較して、非常に多くの欠点のみを持っておると私は断言してはばからないのであります。(拍手)

 すなわち、戦前の工業専門学校は、小学校の六年または高等科二年を含む八年、その上に、素質の優秀なる生徒を選ばれて五年制の中等教育を受けて、十分な一般教養と基礎教育を受けたその上に、三カ年の工業専門教育を施しておるのであります。従って、経済界からも歓迎された中級技術者として、十分の役割を果たしてきたことは、率直に認めなければなりません。ところが、今回の高専は、小学校の六年、中学校三年、合わしてわずかに九年の基礎教育の上に、十六才の少年を入学せしめて、予科、本科を区別せずに、直ちに職業教育を授ける仕組みになっておるのであります。従って、戦前の高等専門学校は、十一年の十分なる基礎教育を通じて人間形成を施した後において三カ年の専門職業教育を施しておるのでありますけれども、今度の高等専門学校は、基礎教育はわずかに九年、直ちに職業教育五カ年を施すという、そういう違った条件の学校制度でありますから、ともに工業専門学校ではありますけれども、その学校としての位置づけ、内容においては、一方は基礎教育を重視し、戦後のこの専門学校は、基礎教育を軽視し、職業教育を偏重しておる、ここに重大なる質の差があるのでございます。(拍手)このことによって、今回の高等教育は、人間形成の本質から見て後進したものであり、学校制度の改悪であることは明らかでございます。

 また、この高専卒業生は、中堅科学技術者としても発展性のない、かたわなものを作ることをおそれる(注・差別的な発言にわだかまりを覚えるのだが……)ものであり、この点について、文教政策の立場においては十分に責任を感じなければなりません。第四の反対理由として、科学技術教育の問題を越えて、全体として、教育水準低下の法案であるということであります。

 この法案に限らず、本国会に提案せられた文教関係の法案は、ことごとく教育水準を後退せしめる法案ばかりであり、まことに遺憾とするものであります。たとえば、さきに成立しました工業教員養成に関する臨時措置法に基づいた工業教員養成所は、大学工学部四カ年を修了することを条件としておる現在の工業科教員の資格を低下せしめて、三カ年の速成工業科教員を養成することが目的でありまして、これも池田内閣の所得倍増計画に基づく技術者養成ブームの陰に隠れて、工業教育の振興どころか、その後退に協力する法案でありました。

 さらに、免許法の一部改正法案もすでに成立しておるのでございますけれども、工業科教員に限っては、教職専門教科を履修しなくても教員の資格を与えるという内容であり、これまた、工業教育を低下せしめる便宜主義の法案であります。あわせて、この高専法案を考えるときには、一連の教育水準低下法案として一つの体系を持っておるのであります。

 その一つの法案としてこの法案を考えるときには、われわれは、どうしてもこれを認めるわけにいかないのでございます。ここに、世界の各国は、科学教育の振興について異常の熱意を示して、各国は競って莫大なる予算をもって科学教育の振興に努力いたしておるのでございますが、荒木文相は、科学技術者の量の不足に心を奪われて、この法案を初めとして、質の向上を忘れた便宜主義の法案を次々に提案いたしておることは、文教政策の責任者としては識見の低さを示すものであるといわざるを得ないのでございます。(拍手)

国会の本会議で高専制度の創設に賛成討論を行った自民党・八木徹雄衆議院議員の発言


○八木徹雄君 私は、自由民主党を代表しまして、ただいま議題となりました両法案について賛成の討論をなさんとするものであります。

 近時、わが国における経済の成長、特に工業の発展は、西ドイツとともに世界の注目するところでありますが、この成長に伴い、科学技術者の需要が著しく増大し、中堅技術者の不足が痛感されているのであります。このような情勢に即応して、今回、政府は、広く各界の意見を調整、検討を重ねた結果、職業教育機関として新たに高等専門学校の制度を新設し、五年制の一貫教育によって、社会が強く求めている有為の中堅工業技術者の養成をはからんとしているのでありまして、国力の伸展のためにまことに時宜に適した措置であると思うのであります。(拍手)

 このことは、単に産業界がこれを歓迎するにとどまらず、広く国民全体の共感を得て、これの早期実現が望まれているのであります。すなわち、公正なる中央の新聞各紙が、その社説において取り上げ、賛成の意見を述べていることによっても明らかであります。(拍手)

 しかるに、社会党、民主社会党は、この画期的な教育制度に対して、ただいま山中議員が反対討論の中で述べられておりますように、まず第一に、六・三・三・四制の教育の基本線に対する反逆である、第二に、日経連の要請に基づき、独占資本のための労働力養成機関としようとしているものである、第三に、一般教養を軽視して、人間形成をないがしろにしている、第四に、中学卒業程度で一生の生活の進路をきめることは冒険である、第五に、一応大学への進学を認めているが、実質的には教育の袋小路になっている等をおもな理由といたしまして、これに反対をしているのであります。

 以下、これらの反対論に対し、私の所見を申し述べて反論を加え、政府原案に賛成いたすものであります。

 まず、第一点について申し上げます。戦後の日本教育が、六・三・三・四制によって推進され、実効をあげてきたことについては、私は、これを決して過小評価する者ではありません。わが自由民主党は、今後も、教育の基本路線として、この六・三・三・四制を引き続き育成、強化することに変わりはないのであります。しかし、現実の問題としては、国民のすべてが大学を卒業できるというわけには参らないのであります。ある者は直ちに就職し、ある者は家庭に入るのが実情であります。四年制の大学は望めないが、中学から直ちに五年制の高等専門学校に入って技術を身につけようと希望する者は多いはずであります。本人の資質、環境に応じた教育の場を与えることは、教育の機会均等の立場より見て望ましいことであります。(拍手)

 諸外国の例を見ましても、わが国の六・三制ほど単一学制を固守しているところはありません。イギリス、フランス、西ドイツ、ソ連等、欧州諸国は、みな、はっきりと複線型の学制をとっておるのであります。占領当時、この六・三制の学制をわが国に押しつけたアメリカにおいてさえ、わが国ほど画一的ではないのであります。これらの事実は、学校教育が社会の事情に即し、その経済的要求にもこたえなければならない一面を持っていることを如実に物語っていると思うのであります。(拍手)

 従って、ひとりわが国だけが科学技術の進歩と経済の伸展に背を向けて、現行六・三制の学校体系だけを維持し、他の一切の学校制度を認めないことは、妥当性を欠くものといわなければなりません。われわれが意図するものは、六・三・三・四という一級国道の上に、新たに効果的な六・三・五の二級国道を建設せんとするにすぎないのであります。

 次に、学校教育を就職の手段にしてはならないとか、独占資本のための労働力養成機関としてはならないとかいうことは、社会党の方々の好んでする議論でありますが、私は、率直に申して、学校教育が就職の手段であってもいいと思うのであります。悪いのは、教育が就職の手段として不当にゆがめられるか、あるいは立身出世主義によって毒される点にあると思うのであります。学校教育は、決していわゆる学者を作るだけが目的ではないはずであり、まして、革命家を作るのが目的であるはずがありません。就職を独占資本への奉仕であるとか、何か不純な、好ましくないことのように言われるのは、とらわれた考え、あるいは偏見に根ざすものであります。高等専門学校がはたして資本家の個人的利益のためのものであるか、就職する人の個人の幸福と社会の利益のためになるものであるか、常識ある国民の判断に待てば、おのずとはっきりすることであります。(拍手)

 次に、高等専門学校の制度は、一般教養を軽視し、人間形成をないがしろにするものではないかと危惧する向きがありますが、その教育課程を見ればわかる通り、新しいこの高専は、五年間の一貫教育を実施することにより、一般教養については、今までのような重複教育を避けて、むだなく実効をあげんとしているのであります。そうして、それだけの時間を基礎学力、特に、英語、数学の充実と、職業的専門教育の飛躍的充実に当てているのであります。人間形成は何によって打ち立てられるか。人間は抽象的な存在ではなく、具体的に職業を持って生活を維持する職業人にほかならないのでありまして、職業に必要な能力の育成は、同時に人面形成の一部であることを忘れてはならないと考えるものであります。(拍手)

 また、中学卒業程度で一生の進路をきめることは冒険であると言うが、現実に工業高等学校、実業高校が現存し、多数の人材が直ちに実社会に入っているではありませんか。また、これらの高校に進学の方途があると同様に、今回の高専にも進学の道は開かれているのであります。教育課程が進学コースになっていないということは、実業高校も同様であります。本来、実業教育は、それ自体完成教育を目ざすものであり、それを、進んで上級学校に進学せんとする者は、個人の特別の努力が必要なことは、やむを得ないことであります。

 以上、私の見解を申し述べましたか、要するに社会党、民主社会党の反対は、いつものごとく、現実離れした観念論であり、およそ、反対のための反対理論というべきであります。私は、いわば時代の要請ともいうべき五年制高専の新設に対し、社会党も民主社会党も、とらわれた考え方を捨てて、小異を捨てて大同につき、相ともに日本教育の充実発展のために協力されんことを要望し、政府原案に対する賛成の討論といたすものであります。(拍手)



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