高専制度に関するメモ

アクセスカウンタ

zoom RSS 沿革と制度の特徴2

<<   作成日時 : 2006/12/27 01:38   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 これらと前後して、工業分野だけでなく、国立の商船高校・電波高校を高専に昇格させるなど、量的拡大が続く。1974年には、境界領域を専門にする初の複合学科の開設を売りにした徳山高専が開校した。国会では、農業高専、商業高専、医科高専構想も論議されたが、これは実現することはなかった。ただ、医専構想は自治医科大学にかたちをかえて創設されている。

 1991年には工業、商船以外に分野を広げ、既存の高専内に設置するかたちで新たに文系学科が誕生した(現在全国に4学科ある)。卒業生に対しては「準学士」の称号を与えることにもなった。さらに、本科5年を終えた後に進学する2年間の専攻科の設置を認められ、修了すれば学位授与機構の審査を経て「学士」号を授与されることになる。外形的には、高専単独で7年間の過程を経て大学と同等の教育が行えるようになったことになる。2002年には、久々に沖縄に国立高専が新設され、04年から学生の受け入れを開始した。ちなみに、沖縄高専は、当時の野中広務官房長官が主導して、米軍基地の名護移転受け入れと引き換えに、沖縄北部振興策の一環としてつくられたものである。

 この十数年来、進学者が増えているため、企業の求人需要をまかなえなくなりつつあるものの、大企業を中心に引く手数多であることには変わりがない。就職を希望する学生に対する求人倍率は、学校・学科によってまちまちであるものの、いずれも10倍以上、なかには40倍を超えるところもある。05年度は平均で16倍だった。高校・大学の求人倍率とは一桁違う。たいていの高専は、就職率100%も標榜する。だが、入社後の社内的位置づけは当然ながら、高卒と学部卒の中間。早期教育で実力をつけたはずなのに評価が低いと卒業生は不満を抱いているようだ。

 一方、志願者数は減少の一途にある。創設時には20倍以上の競争率になった学校もあったが、21世紀に入ってから2倍前後に落ち着き、06年入試は1.8倍(国立のみの集計)に漸減した。近年は定員割れの学科も現われている。ただ、この40年間、志願者の実数に、大きな変動はない。一方、私立高専は、この間に8校創設されたものの、現存するのは3校だけになってしまった(4校は大学に転換[聖橋→埼玉工業大学、大阪→摂南大学工学部、幾徳→幾徳工業大学を経て神奈川工科大学、桐蔭→桐蔭横浜大学工学部]、1校は国立に移管)。

 高専制度が不人気になりつつも、大学進学のためのバイパスルートに活路を見いだしたかのような動きも現われている。卒業生全体に占める進学者(主に大学3年編入)の割合は4割以上に及ぶ。専攻科を経て大学院に進学するルートもできた。これらの進学先のほとんどは国立大学となっている*5。ただ、単位制ではなく、学年制を採っていることから、極端に進級条件が厳しい。5年間を通じて、留年・中途退学する学生は10%以上になるとみられる*6。国立大の中退率は2%弱(03年の調査では1.7%)、私立大は3%強、高校は2%ほどとされているから、高専生の中退率は際立っている。3年修了を期に、大学進学に進路変更する学生が常にいるのも影響しているが、大半は学業不振や学校に馴染めなかったというのが理由だろう。学生の減少を補うため、ほとんどの高専では、高校の卒業生や東南アジアからの留学生を3年編入または4年編入として受け入れている。

注5・大学編入を“売り”にする高専は多々ある。たとえば、前述の群馬高専は卒業生180人中143人(79%)が大学・専攻科等に進学し、次いで、長岡高専が194人中135人(70%)、茨城高専が192人中125人(65%)、明石高専が160人中95人(59%)などとなっている。明石高専や沼津高専は、東大・京大・東工大などへの編入実績を誇示している。長岡高専は、長岡技術科学大学の近隣校ということもあって、3年編入と専攻科経由の大学院進学を合わせると卒業生の4割にあたる70〜80人が同大に進んでいる。


注6・国立高専の場合、1学年の定員は9680人だが、06年3月の卒業生の総数は8854人だった。したがって、卒業したのは定員の91%にとどまる。個別の学校でみると、秋田高専の05年度の「卒業率」は定員の76%、鳥羽商船高専は78%、新居浜高専は80%などとなっている。ちなみに、二昔前に私が在学していた学科では40人が入学し、5年間のうちに6人が退学(うち2人は3年修了後に大学進学)し、2人が留年して1年後に卒業した。ストレートで卒業したのは8割だった。


 企業側の採用意欲に支えられて難なく大企業を中心に就職ができ、大学進学もセンター試験などにわずらわされることなく容易に国立大を中心に編入できたり、大学院に進学できるという、アンビバレントな学校もそうそうない。だが、内部は苛烈なスクリーニング(選別)が行われている結果であるともいえそうだ。



テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
沿革と制度の特徴2 高専制度に関するメモ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる