高専制度に関するメモ

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zoom RSS 中学校卒業者数と高等専門学校の入学志願者数の推移

<<   作成日時 : 2007/02/02 01:03   >>

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独立行政法人国立高等専門学校機構の今後の高専の在り方検討小委員会の作成した「今後の国立高専の整備について(中間まとめ)」(2006年6月29日付)に付された「参考資料」に、高専の志願者数と全中学生に対する志願率が掲載されている。

出典は「高専の志願倍率」で引用したものと同じなのだが、興味深い数字なので、今度は、国立高専の推移のみピックアップして分析してみた。

中学卒業者数と高専の入学志願者数の推移
 ――国立高専の志願者数と中学の卒業生に占めるその割合


年号  中学卒業生   定員  志願者 志願倍率 受験割合
1962  1,947,657  1,480  25,866  17.48倍  1.33%
1963  2,491,231  2,920  38,803  13.29倍  1.56%
1964  2,426,802  4,440  38,597  8.69倍  1.59%
1965  2,359,558  5,280  35,310  6.69倍  1.50%
1966  2,133,508  5,760  26,181  4.55倍  1.23%
1967  1,947,237  6,520  30,096  4.62倍  1.55%
1968  1,846,787  6,760  30,200  4.47倍  1.64%
1969  1,737,458  7,400  28,795  3.89倍  1.66%
1970  1,667,064  7,680  26,450  3.44倍  1.59%
1971  1.621.728  7,960  22,772  2.86倍  1.40%
1972  1,561,360  7,960  19,996  2.51倍  1.28%
1973  1,542,904  7,960  17,067  2.14倍  1.11%
1974  1,623,574  8,200  19,234  2.35倍  1.18%
1975  1,580,495  8,200  19,959  2.43倍  1.26%
1976  1,563,868  8,200  21,083  2.57倍  1.35%
1977  1,579,953  8,200  21,043  2.57倍  1.33%
1978  1,607,183  8,240  22,284  2.70倍  1.39%
1979  1,635,460  8,280  21,805  2.63倍  1.33%
1980  1,723,025  8,280  21,489  2.60倍  1.25%
1981  1,677,764  8,280  21,705  2.62倍  1.29%
1982  1,556,578  8,280  21,272  2.57倍  1.37%
1983  1,850,694  8,320  25,706  3.09倍  1.39%
1984  1,882,768  8,320  23,624  2.84倍  1.25%
1985  1,882,034  8,440  23,197  2.75倍  1.23%
1986  1,933,616  8,640  21,579  2.50倍  1.12%
1987  2,005,425  8,840  20,778  2.35倍  1.04%
1988  2,044,923  9,040  20,137  2.23倍  0.98%
1989  2,049,471  9,200  20,586  2.24倍  1.00%
1990  1,981,503  9,280  21,610  2.33倍  1.09%
1991  1,860,300  9,320  21,623  2.32倍  1.16%
1992  1,773,712  9,400  20,335  2.16倍  1.15%
1993  1,732,437  9,440  20,491  2.17倍  1.18%
1994  1,680,006  9,480  20,184  2.13倍  1.20%
1995  1,622,198  9,480  20,531  2.17倍  1.27%
1996  1,545,270  9,520  20,191  2.12倍  1.31%
1997  1,510,994  9,520  20,121  2.11倍  1.33%
1998  1,511,845  9,520  20,828  2.19倍  1.38%
1999  1,502,711  9,520  21,510  2.26倍  1.43%
2000  1,464,760  9,520  21,662  2.28倍  1.48%
2001  1,410,403  9,520  20,217  2.12倍  1.43%
2002  1,365,471  9,520  19,206  2.02倍  1.41%
2003  1,325,208  9,520  19,465  2.04倍  1.47%
2004  1,298,718  9,680  19,981  2.06倍  1.54%
2005  1,236,363  9,680  18,603  1.92倍  1.50%
2006  1,212,178  9,680  18,050  1.86倍  1.49% 見込(中3)
2007  1,214,473  見込(中2)
2008  1,199,764  見込(中1)
2009  1,192,343  見込(小6)
2010  1,231,932  見込(小5)
2011  1,181,334  見込(小4)

注:中学校卒業者数は、文部科学省「学校基本調査」。2006〜11年はそれぞれ05年5月現在の中学3年〜小学4年の児童・生徒数
出典:「今後の国立高専の整備について(中間まとめ)」(2006年6月29日)独立行政法人国立高等専門学校機構 今後の高専の在り方検討小委員会

このデータからわかるのは、1.中学の全卒業生のうち国立高専を志願する者の割合は制度創設以来、ほぼ1.5%前後で推移していること、2.ただし、1990年前後の数年間は急激に減少し、1%を割り込む年もあったこと、3.近年は志願率が上昇傾向にあり、創設時並みの志願割合に回復したこと――だ。

高専に対する「袋小路」批判は設立当初からあったが、80年代はじめまでは、大学進学率はせいぜい30%ほどだったため、さほど影響がなかったのだろう。だが、90年代近くになって、より勉学に励みたいと思ったとき、大学進学(編入)の道が閉ざされている高専は「不利」だという風評(実際はある程度、改善されていた)が広まり、志願者を減らしたのではないかと思われる。新聞記事のデータベースを検索したところ、次のような記事があった。

■国立高専志願者さらに減る
 文部省は16日、今春の国立高専入試の志願状況を発表した。それによると、54校の全志願者は2万776人で、昨年より803人減り、ここ10年では一番少なかった。募集数8840人に対する競争率は2.4倍(昨年2.5倍)。(中略)
 中学校卒業生が年々増えている中で、国立高専の志願者は58年の約2万5000人をピークに減り続けている。同省は、(1)中学校での指導が徹底し、高倍率の高専を敬遠するようになった(2)推薦入学枠を広げた工業高へ流れる生徒も多い、などのほか、高校―大学という高学歴志向の影響もある、としている。
 朝日新聞(全国版)1987年02月17日付朝刊


この記事の出た翌年、全中学生に占める高専の志願割合が1%を切った。この状況に対応して、高専側(当時の国立高専協会)は、文部省に対して、準学士の称号を得られるよう法整備を求め、さらに課程修了後、学士号の得られる専攻科の設置も要求した。これが実現すると同時に、大学編入、大学院進学に有利だとする「宣伝」をはじめることになる。

■高専+2年で「工学士」 久留米高専、専攻科を設置へ 【西部】
 福岡県久留米市の国立久留米工業高等専門学校(長谷川修校長)は、修了すれば大学卒と同じ工学士の学位が与えられる二年間の専攻科を、来年度から設置する。(中略)
 同校によると、高専卒業者は、企業から即戦力の技術者として大卒並みに優遇されてきたが、最近の先端技術の発達で、大企業では大学院の修士課程修了者が重用される傾向にあるという。このため大学院進学資格を得るために、大学三年に編入する同高専の卒業生は、全体の二割近くに達している。
 加えて先端技術の急速な発達で、高専で学ぶ基礎工学だけでは、現代物理や量子力学を応用した最先端の技術についていけなくなった事情もあるという。(後略)
 朝日新聞(福岡版)1993年01月29日付朝刊


■「大学編入に有利」が売り物 高専、冊子でPR 【大阪】
 中堅技術者の養成を看板に掲げてきた高等専門学校(高専)が「四年制大学への編入学に有利」と積極的なPRに乗り出した。すでに一部の高専が大学編入の手引きを作ったのに続き、国立高専協会(五十四校・春山志郎会長)も高専の魅力をアピールする冊子を来春発行する。減少する受験生の奪い合いが大学間で激しくなったうえ、専門学校と同一視されがちの中で選んだ態勢立て直し策だが、大学のバイパスへの傾斜を強めている。(中略)
 高専から四年制大学の三年への編入は、国立の豊橋技術科学、長岡技術科学両大学が一九七六年から定員の四分の三を編入希望者用に確保して以来、本格化。現在、編入枠を設ける国立大学は東大、京都工繊大など計二十三校、千六十八人。
 この編入は、入試センター試験を受ける必要がないため、大学編入を目的に高専に入学してくる生徒も多い。(後略)
 朝日新聞(大阪版ほか)1993年12月19日付朝刊


こういった制度面の整備と、受験生に対する「働きかけ」によって、一時的な落ち込みはあったものの、この40年間、高専を志願する中学生の割合は、「奇跡的」にほぼ一定することになった。

しかし、ピーク時の中学卒業生の総数約250万人に対して、徐々に少子化が進み、06年は120万人と、半分以下になった。公立高校や私立高校は人口の変動に対応して定員を増減させている一方、国立高専の総定員は70年以降、微増を続けている。その結果、志願率は変わらないのに、志願倍率は減少の一途となった。なかには定員割れの高専も現われている。良し悪しは別にして、以前よりも、高専に入りやすくなったということだ。

先に触れた「今後の国立高専の整備について(中間まとめ)」は、その後、正式な報告書として発表され、国立高専機構は、高専どうしの合併を推進し、定員の削減を進めることを決定。同時に、専攻科を充実させる方向を確認した。簡単にいえば、1学年の定員を絞り、減らした分を専攻科に回すということのようだ。

高専に進みたいという中学生は確実に存在している。しかし、弥縫を重ねるうちに、制度の再設計を求められる場面もそう遠くない未来にやってくるような気がする。(この項、未了)


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